- 色調合

日本文化、米ぬか・赤ぬか・白ぬかをベースにした糊の中に染料を入れ調合。文化の違いで海藻・とうもろこしをベースにしている国もある。日本の文化であるぬかは防染力も強く環境にもやさしい。長年の経験と勘のいる工程である。
- 地張り

13メートルの回転台(4面)に白生地(正絹縮緬)を張る。「布目をまっすぐに」細心の注意が必要であり、仕上がりにも関係してくる。
- ぼかし

鹿の毛を材料としたぼたん刷毛を使い、職人の手加減でぼかしながら濃淡をつけていくことにより、作品に柔らかさが表現される。
- 型つけ

平成2年頃までは手彫り師が、渋を塗った型紙に図柄を彫りその型紙による手捺染をしていたが、時の流れで後継者が育たずコンピュータを導入した型製作(スクリーン型)に手作業の型を併用し、スケージを使って色糊を捺染している。
- ふるい

ぼたん刷毛に適量な染料をふくませ、金網をあて霧状に落としていく糊置とは異なった趣きが表現される。
- しごき(地染め)

柄の糊置きが終わり、スケージでむらなく平らにこすりグランド色(地色)を染める。
- ぬれ蒸し

捺染された布をぬれた状態で蒸すことにより発色よく色が定着する(弊社の特色)。
- 水元

約120メートルの地下から汲み上げた水を流しながら糊を落とし、まっ白だった縮緬の布に定着した色が模様となって水面に浮かびあがる。
(昭和30年代の話)
神田川で友禅流しをしていると川魚が流れる糊を食べに寄ってきたそうです。それだけ環境にやさしい。
- 干す

ただ干すだけではありません。〝色〟のごきげんを伺いながら乾燥しすぎず、生乾きでもなく、頃合いをみてとりこむ。
点検 ― 納品 ― ここで〝ほっと〟する
引染染色工程

張り木を生地の両端にとりつけ柱にしばり、生地の裏面に伸子を打ってゆきます。
ぴんと張られた生地を染料液で染める前に、ふのりや豆汁などを刷毛で塗布する〝地入れ〟の工程を行います。
この目的は染料液の生地への浸透・移行を調整、むら染になることを防止し、染の作業をやりやすくすることにあります。
逆に地入れをていねいにしておかないと、次の染工程にすべて影響するため慎重に作業を進めてゆきます。
前準備がすべて完成しますと、いよいよ引染(染色)となり、乾燥→蒸し→洗い→点検の工程を経て完成となります。